3-3.FFTスペクトルの定量性について
片振幅1の正弦波をフーリエ変換した時の振幅スペクトルのピークは1になるはずですが、次のような条件が必要です。
・演算窓の右端と左端の位相が同じになる。
・窓関数を使わない。(窓関数 BOX)
・ゼロ補間を使わない。

窓関数 BOX 左端と右端の位相差0 ピーク高さは1になる
演算窓の左端と右端の位相が異なると下記の図のように、ピークは1より小さい値になります。
また、ピークの形も歪んでいます。

窓関数 BOX 左端と右端の位相差 180 ピーク高さは0.667になる。
窓関数HANNINGを使うとピーク高さは下記のように1/2になります。

窓関数 HANNING 左端と右端の位相差0 ピーク高さは0.5になる
窓関数HANNING を使うと図のように左端と右端の位相差 がある場合でもピークの落ち込みが少なくなります。
ピークの歪みもましになります。

窓関数 HANNING 左端と右端の位相差 180 ピーク高さは0.424になる
演算窓の左端と右端の位相差とピークの高さの関係は下記のグラフのようになります。
窓関数 BOX の場合 ピークの最大値を100%とすると最小値は 63.7%となります。
窓関数 HANNING の場合 ピークの最大値を100%とすると最小値は 84.8%となります。
窓関数 HAMMING の場合 ピークの最大値を100%とすると最小値は 81.6%となります。
窓関数 BLACKMAN の場合 ピークの最大値を100%とすると最小値は 88.1%となります。
窓関数 TRIANGLE の場合 ピークの最大値を100%とすると最小値は 81%となります。
重ね合わせた場合
結論
演算窓の左端と右端の位相が180度の場合のピークの落ち込みが最も少ないのは 窓関数 Blackman でした。
よって、定量性を議論する場合は 窓関数 Blackman を用いるのが良いと思われます。