8.打音検査
トンネルなどの表層のコンクリート強度を調べるために打音検査が行われています。
一般には検査員がハンマーでコンクリート表面をたたき、清音(キンキンという音)か濁音(ボコボコという音)で良し悪しを判定します。
良好な打音の波形は減衰時間が短く、周波数分布も高い領域になります。
不良な部位の打音は減衰時間が長かったり、揺らぎが出たりします。また周波数分布も低い領域がになります。
また、打撃部が平たいハンマーでたたくのと、丸いハンマーでたたくのとでは音の感覚が異なります。平たいハンマーでたたくとパチンという高い周波数成分が出てきます。
安定した打音を得るには丸いハンマーでたたくのがよいと思われます。
打音検査でフーリェ変換による周波数分析が行われますが、ピークの位置で議論するのはあまり意味がないように思えます。たたく位置によりピーク周波数が変化するからです。おおまかな周波数分布で判定する程度にしか役にたたないように思えます。
ウェーブレット変換によるオクターブ分析で、おおまかな周波数分布や、各周波数での減衰状況、揺らぎのある無しで判定するのが有効だと思えます。
打音をウェーブレット変換した周波数毎の波形